転職の際の面接で転職理由は必ず聞かれますが、転職を考えている方の中には「キャリアアップをして新たな場所で挑戦したい」と考えている人も多いと思います。
しかし、この「キャリアアップ」という言葉を安易に使うと、面接の際にマイナスの印象を与えてしまう恐れがあります。
きちんとポイントをおさえて伝えることができれば、効果的な自己PRとなるでしょう。
本記事では、転職理由でキャリアアップと伝える際のポイントや、キャリアアップを転職理由として伝える際の例文を解説します。
「キャリアアップ」とは?
キャリアアップとは、高いスキルや技術を身に付けることで、自分の働くことにまつわる生き方を向上させていくことを指します。
キャリアアップと聞くと、年収アップや今よりも裁量を持てる役職などがイメージされることが多いですが、今まで培ってきた能力をさらに専門性を高めたり、今までの経験を生かして別業種へ挑戦することで人生の幅を広げたりすることもキャリアアップだと考えられています。
面接の時に転職理由を伝える際、「キャリアアップのため」と答えるのは一見ポジティブに聴こえますが、転職によるキャリアップの内容を具体的に答えることができなければ採用担当者に「あまり考えることができていない」とマイナスなイメージを与えてしまう恐れがあります。
どのようなキャリアアップをしたいか、どのような将来を思い描いているか、などは人によって様々です。
人によって違うからこそ、「自分はこのようなキャリアを進んでいきたい」といったような自分の明確な考えを伝える必要性があるのです。
転職理由でキャリアアップと伝える際のポイント
キャリアアップを転職理由として伝える場合、重要なポイントをおさえて伝えなければ、採用担当者から「あまり転職について考えていない」という印象を抱かれかねません。転職理由でキャリアアップをと伝える場合には、以下のポイントをおさえておきましょう。
- キャリアアップしたい目的を明確に伝える
- 具体的なキャリアプランやビジョンを伝える
- 現職や前職の不満は漏らさない
- 応募先企業でなければいけない理由を含める
- 採用担当者に入社後活躍しそうなイメージを持たせる
キャリアアップしたい目的を明確に伝える
一概にキャリアアップといっても、年収アップや昇進、スキルの向上など、人によって様々な目的があります。自分がなぜキャリアアップをしたいと思ったのか、その目的を明確に伝えられるようにしておきましょう。
前向きな転職理由を伝えようとしてあまり内容も考えずに「キャリアアップのために転職しようと考えています」とだけ答えると、「転職の理由をあまり考えていない」というマイナスな印象を持たれてしまう恐れがあります。
「転職をしてこんなことがしたい」「こんな仕事をして世間の役に立っていきたい」といったような自分が目指しているものを明確に伝えることで、採用担当者を納得させることができます。
具体的なキャリアプランやビジョンを伝える
キャリアアップをしたいと考えたのであれば、具体的なキャリアプランやビジョンを考え、それらを面接の際にも伝えられるようにしておきましょう。
どのような将来を思い描いて、どのような目標を達成したいと考えているのか、あなたが考えるキャリアプランを練ることが重要です。
綿密なキャリアプランやビジョンであるほど、「キャリアアップしたい」という転職の理由も具体的になり、採用担当者に転職の熱意が伝わるでしょう。
また、早期退職のリスクが低い応募者という評価も受けられる可能性があります。
現職や前職の不満は漏らさない
転職理由でキャリアアップを伝える際は、現職や前職の不満は漏らさないようにしましょう。
例えば「仕事を任せてもらえなかったため成長できないと感じた」と伝えると、それが事実であったとしても採用担当者は「本人にも問題があったのではないか」「仕事に関してあまり前向きでない」とネガティブに捉える可能性があります。
退職理由は転職のきっかけ程度に話し、転職先で実施したいことなど前向きな内容を多く伝えるようにしましょう。
応募先企業でなければいけない理由を含める
自身が行っていきたいキャリアアップが、応募先企業でなければいけない理由が含まれているとさらに効果的です。
似たような業種や職種の会社は山ほどあります。その中で、応募する企業を志望する理由やその企業だからこそ叶えたいキャリアなどを伝えることができると、転職理由に説得力を持たせることができます。
応募する企業では実現できない内容になってしまうと、「企業研究をしていないのでは」とマイナス評価につながってしまう可能性があるので注意しましょう。
採用担当者に入社後活躍しそうなイメージを持たせる
企業が採用活動を行う目的は、良い人材を採用してさらに事業の発展していくことが目的です。
そのため、転職してキャリアアップを行っていく中で、どのように応募先企業に貢献ができるかを伝えることができればより効果的です。
自分を採用することでどのようなメリットがあるのか、入社後どのような活躍をしそうか、を採用担当者にイメージさせることができれば、魅力的な人材だと評価されることに繋がるでしょう。
キャリアアップを転職理由として伝える際の例文
転職理由でキャリアアップと伝える際、伝え方によっては採用担当者にマイナスな印象を与えてしまいます。
具体的かつ前向きなキャリアアップの内容を伝えることが非常に重要です。
ここからは、キャリアアップを転職理由として伝える際の例文をケース別に解説します。自らの応募職種や転職理由に置き換えて、活用なさってみてください。
今まで培ってきた能力をさらに深めていきたい
「私の転職理由は、今まで培ってきた能力をさらに専門性を高め、一生涯働ける人材になるためです。現職でもシステムエンジニアとして勤めておりますが、キャリアアップのために業務外でもプログラミングについての知識を学んだり、新しい言語の学びを取り入れたりしました。しかし現職では下請け企業であることも関係し、毎日同じプログラムを組む日々で、これらの身に付けたスキルを求められる場面がほとんどありません。現職のおかげで基本的なスキルは身につきましたが、私自身としてはさらに高みを目指したいと考えております。
今後のキャリアプランを考え、ただプログラムを組むだけでなく、システム開発の企画から携われる御社への転職を志望しました。今まで培ってきたスキルを活かすとともに、より専門性の高い知識や技術を身に付け、御社に貢献していきたいと考えております。」
裁量を持ってチャレンジして仕事に取り組みたい
「私の転職理由は、組織全体でチャレンジする中で仕事を行っていきたいと考えたためです。現職では個人の能力の範囲で業務を進めることがほとんどで、個人に事業部長が定めたノルマが課されており、個人の力だけで淡々と取り組むといった働き方になっています。ただし、業務の中には社内で連携を取った方がより良いサービスを行うことができるものもあるため、社内のメンバーで業務改善の提案を行いましたが、組織の在り方や業務の進め方については事業部長の一存で全てが決まってしまう環境となっているため却下されてしまいました。
今後のキャリアプランとして、私は多くの人達と関わりながら何かを創りあげたり、何かを成し遂げたりといったことに充実感を持つため、コミュニケーションに重きを置いた働き方をしたいと考えています。双方向のコミュニケーションを重視した組織づくりに注力している御社であれば、社内でも連携を行いながら業務に取り組めると思っています。企業というチームでそれぞれの強みが最大限発揮できるように協力し、事業発展の為に御社に貢献していきたいと考えております。」
行う業務の領域を広げていきたい
「私の転職理由は、5年に渡る営業職の経験から、仕事の幅を広げていきたいと考えたためです。私は現職で5年間営業職として日々やりがいをもって働いていました。しかし、営業職を行ってお客様の声を聴く中で、お客様の抱えるニーズや想いにさらに答えられるようなサービスを開発したいと考えるようになりました。どんな理由で商品を購入しようと思ったのか、さらにどのようなものが求められているのか、お客様の想いを聴いてきた私だからこそさらに良いサービスを提供できると思っています。
今後は営業を通じてお客様から得られた情報をもとに、サービス開発の業務に携わりたいと考えています。お客さまのニーズを反映した新しいサービスを生み出し続けている御社で、営業経験を生かしながら商品開発の場で働き、画期的なサービス開発で御社に貢献いたします。」
新しい技術をより良い環境で身に付けて働きたい
「私の転職理由は、どの時代においても必要とされるエンジニアでありたいと考えたためです。私は10年間エンジニアとしてキャリアを積んできましたが、数年前から社外の勉強会などにも参加するようにもなりました。そのような場で学びを深めていく中で、現職は最新テクノロジーへの投資に対して消極的であることに気づきました。現職の直属の上司には相談しましたが、社内体制の関係上改善は難しく、現職でエンジニアを続けていると時代に取り残されてしまうのではないかと感じました。
そのため、最新テクノロジーの活用を続々と推し進めている御社への転職を志望しました。開発環境に投資を惜しまない御社で腕を磨き、自身でも最新技術について積極的に学ぶことで、この先どの時代においても必要とされるエンジニアとして御社に貢献していければと考えています。」
まとめ
本記事では、転職理由でキャリアアップと伝える際のポイントや、キャリアアップを転職理由として伝える際の例文を解説しました。
「キャリアアップ」という言葉を転職理由で安易に使うと、マイナスの印象を与えてしまう恐れがありますが、具体的かつ前向きなキャリアアップの理由を伝えることで、効果的な転職理由となります。
「なぜキャリアアップしたいのか」「転職によってどのようなキャリアアップを目指すのか」を明確にして、転職活動に臨みましょう。