転職する方の中には、転職で給与アップを目指す方も多いと思います。転職先の企業を選ぶときに、年収や給与は大きな判断基準となるでしょう。
しかし、「給与がもう少し高ければ入社したい」という企業に出会ったとき、給与の交渉をしたいものの、お金が絡む話は話しづらい・聞きづらい内容となります。「給与交渉をすると、採用担当者に悪いイメージを与えてしまうのではないか」と不安を感じる人も多いでしょう。転職活動の中で企業に対しての給与交渉はしても良いものなのでしょうか?
本記事では、転職での給与交渉の可否や、給与交渉をする際のポイントや注意点について解説します。
転職で給与交渉はしても良いのか?
転職での給与の交渉は、お金が絡む話なので話しづらい内容と考える人が多いです。実際に給与の交渉は行っても良いものなのでしょうか?
給与交渉をすることは可能
結論から言うと、応募先企業に給与交渉をすることは可能です。応募先の企業が提示した給与に対し、現職・前職と比較して低かったり、自分の能力やキャリアに見合わなかったりなどの場合に交渉できます。もちろん交渉にあたっての注意点はありますが、面接が進んで条件交渉に入った段階で、給与の交渉を行うと良いでしょう。
しかし、交渉のタイミングや伝え方を誤ると、印象を悪くしてしまったり、採用が見送られてしまったりする恐れがあるため、給与交渉は慎重に行う必要があります。
必ずしも希望通りに行かないことは理解しておくべき
応募先企業に給与交渉をすることは可能ですが、必ずしも希望通りに行かないことは理解しておきましょう。給与は、応募者の能力やキャリアを見た上で判断したり、企業の規定を考慮したりしたうえで決定されます。応募者側の希望や事情だけで給与を上げることはないので、注意しておきましょう。
給与交渉をする際の4つのポイント
応募先企業に給与交渉をすることは可能で、特に引け目を感じて行うものではありません。ただし、給与交渉は正しく行わなければ、あなたの印象を悪くしてしまう恐れもあります。給与交渉をする際はポイントをおさえて実施しましょう。給与交渉をする際のポイントは、以下の4つです。
- 業界・業種の給与水準を調べておく
- 自分の能力に相応しい年収相場を理解しておく
- 根拠や理由を準備しておく
- 交渉にふさわしいタイミングを考える
業界・業種の給与水準を調べておく
給与の交渉を行う際は、業界・業種の給与水準を事前に調べ、適切な希望の給与を伝えるようにしましょう。給与水準は業界・業種によって差があります。そのため、現職や前職の給与を基準に考えて希望の給与を伝えると、希望する業界の給与水準と大きな開きが生まれる恐れもあります。
大きな開きが生まれたまま採用担当者に伝えると、「無謀な希望給与だ」と思われてしまい、採用には繋がらない可能性が高くなります。事前に希望する業界・業種の給与水準をきっちりと調べておきましょう。
自分の能力に相応しい年収相場を理解しておく
給与の交渉は、もちろん自分の能力に相応しい年収相場を理解した上で、適切な希望金額を伝える必要があります。自分の能力やスキル、経験などを洗い出した上で自分の市場価値を把握するようにしましょう。
応募者が希望している給与に見合うほどの能力やスキル、経験などを持っていない場合、企業は「自分の市場価値を把握できていない人材」「自己分析ができておらず、過大評価している」と判断し、採用には繋がらない可能性が高いです。
希望している給与に対して、きちんと企業も納得できるほどの根拠があるのであれば、採用担当者から良い評価に繋がる可能性もあります。
根拠や理由を準備しておく
給与の交渉を成功させたいのであれば、企業を納得させるだけの根拠や理由が必要になります。希望の給与を聞いた企業が「この能力やスキルを持っているのであれば、希望している給与に見合う人材」と感じられるような根拠や理由を準備しましょう。
例えば「前職では、営業部の統括リーダーとして営業チームをまとめ、前年度の売上を30%アップさせました。自らもプレイヤーとして行動し、単独で1,000万円の売上を毎月達成しました」など、具体的かつ客観的に理解できる言葉で伝えることが大切です。
交渉にふさわしいタイミングを考える
給与の交渉は、交渉にふさわしいタイミングで行うようにしましょう。例えば、一次面接でいきなり給与に関しての話をしてしまうと、「仕事の内容より給与の高さを重視しているのではないか」と判断されてしまい、あまり良い印象には繋がらないかもしれません。
給与の交渉は、応募先の企業から「希望する給与はいくらくらいでしょうか?」などの話が上がってから行うようにしましょう。もしも応募先企業から最終の面接まで話が上がらなかった場合は、最終面接の逆質問のタイミングでこちらから伝えるようにしましょう。ただし、その際も直接的に「給与」などの金銭を表す言葉を使うのは避け、「条件面のご提示はいつごろと考えていればよいでしょうか?」など、まずは遠回しに確認を行うようにしていきましょう。
給与交渉する際の注意点
給与交渉を行う際に、事前に入念な準備をしていても、実際の給与交渉の際に採用担当者の気分を害してしまうようなことがあれば、給与交渉は失敗に終わる可能性が高いです。そのため、給与交渉は最大限の注意を払って実施する必要があります。
給与交渉する際は、以下の点に注意して行いましょう。
- 個人の事情だけで交渉しない
- 内定承諾書提出後に給与交渉を始める
- 待遇面に関しての質問ばかり行う
- 前職の年収は正直に答える
- 希望の給与に固執しない
個人の事情だけで交渉しない
給与交渉は、個人の事情だけで交渉を行わないようにしましょう。給与は、応募者の能力やスキル、経験、社内の規定、既存社員とのバランス、面接での評価を加味して決定されます。当然のことですが仕事の視点で決定されるので、個人の事情を理由に給与交渉をするのは、応募先企業からの印象をマイナスにしてしまいます。
業界未経験の転職希望者が、「現在の年収は350万円ですが、家庭の事情で年収500万円欲しいです。」と言ってきても、企業からすると個人の事情だけで交渉をされても困るだけでしょう。給与の交渉を行う際は、自分の能力に相応しい年収相場を理解し、根拠や理由をきちんと伝えられるようにしましょう。
内定承諾書提出後に給与交渉を始める
内定承諾書を提出した後に給与交渉を始めることはやめておきましょう。内定承諾書を提出するということは、企業が出した条件に合意したということになります。そのため、内定承諾提出後に給与交渉を始めるのは、一度合意した条件に対して改めて意見を出してしまうような行為になり、企業からの信頼を失うことになってしまいます。
企業からすると、内定承諾書が提出されたことで良い人材が入社してくれると思っていたのに、急に裏切られたような気持ちになってしまうことでしょう。給与の面で交渉するのであれば、合意をする前に行うべきです。企業との関係が悪くならないためにも、きちんとタイミングを考えて給与交渉を行ってください。
待遇面に関しての質問ばかり行う
面接の際に、給与などの待遇面の話ばかり行うと、応募先企業からの印象が悪くなってしまう恐れがあります。待遇面の質問などをしてはいけないわけではないですが、企業の事や業務内容、将来性などの話より給与や福利厚生などの話ばかりでは、「待遇面で転職先を決めているのでは」と企業に悪い印象を与えてしまいかねません。
面接では、採用担当者からの質問に答えたり、自分のアピールを行ったりすることが大切だということを忘れず、待遇面に関しての質問は後々の質問の際に行うようにしましょう。
前職の年収は正直に答える
応募者の給与を決める際、前職の給与は1つの指標となります。そのため、前職の年収を聞かれた際は正直に答えるようにしましょう。
給与を高くしたいからといって、前職の給与を偽るのは絶対にやめておきましょう。「嘘の情報を伝えても知られることはない」と思っていても、前職の年収は源泉徴収票などで簡単に確認できてしまいます。そのため、申告された情報が嘘の情報だったと知った企業からは、信用を大きく失うことになってしまうでしょう。
また、もしも内定が決定した後に、嘘の情報を申告したことが発覚した場合、内定が取り消しになってしまうこともあります。応募者にとっても、企業にとっても損失しか生み出しません。前職の年収を聞かれた際は、必ず正直に答えるようにしましょう。
希望の給与に固執しない
給与の交渉時は、自分が希望する給与の額に固執せず、企業が考える給与に歩みよる姿勢を見せることも重要です。企業は、自社の給与に関する規定や既存社員とのバランスも考慮した上で、応募者の給与を決めています。そのため、一方的に自分の希望を伝えるのは避け、企業側の事情も考慮するようにしましょう。
また、「希望する給与に近づくためには、どのような成果をあげていけば良いでしょうか?」など、入社前に希望する給与に固執するのではなく、入社後に希望する給与に向けて努力する姿勢を見せることも効果的です。
まとめ
本記事では、転職での給与交渉の可否や、給与交渉をする際のポイントや注意点について解説しました。応募先の企業が提示した給与に対し、現職・前職と比較して低かったり、自分の能力やキャリアに見合わなかったりなどの場合、給与交渉を行うことは可能となっています。給与交渉自体は悪いことではありません。しかし、伝え方などを誤ると、印象を悪くしてしまったり、採用が見送られてしまったりする恐れがあるため、慎重に行う必要があります。給与交渉を行う際は、応募先企業で働くイメージをしっかりと持ちながら、謙虚に交渉を行うようにしましょう。